中央銀行と金利 — 誰が金利を動かしているか
債券(金利)を動かす中心にいるのが中央銀行です。日本なら日本銀行、米国ならFRB。ただし、中央銀行が直接動かせるのは「短期金利」だけで、長期金利は市場が決めます。
ここでは、その仕組みと、日本で実際に起きたマイナス金利・YCCを見ていきます。
中央銀行の仕事は「物価の安定」
中央銀行の一番の仕事は、景気や株価を上げることではなく物価の安定です。物価が上がりすぎれば金利を上げて冷やし、弱すぎれば金利を下げて温める。この「金利」という道具で経済の温度を調整しています。
ただし、中央銀行が直接動かせるのは短期金利(政策金利)だけです。10年・30年といった長期金利は、市場が「この先の景気・物価・政策」を予想して決めるもので、中央銀行が直接は決められません。直接コントロールが効くのは、せいぜい2年金利あたりまで——ここが多くの人のつまずきどころです。
(直接効くのは〜2年)
2年〜10年〜30年の形が決まる
価格がこの金利で計算し直される
マイナス金利とは — お金を預けると減る
通常、お金を預ければ利息がつきます。ところがマイナス金利では、預けると逆に手数料を取られ、お金が少しずつ減ります。異常な状態ですが、日本銀行は2016年から2024年まで、この政策を実際に行っていました。
狙いは、銀行がお金を日銀に預けたまま眠らせず、企業や個人への融資・投資に回るよう促すこと。景気と物価を温めるための、いわば「非常手段」でした。
YCC(イールドカーブ・コントロール)とは
もうひとつの非常手段がYCC=イールドカーブ・コントロールです。本来は市場が決める長期金利(10年国債)に、日銀が「上限」を設けて、それを超えそうになったら国債を無制限に買って金利を押さえ込む——という政策です。
第1回で「日本国債の約半分を日銀が持っている」と見ました。その最大の理由が、このYCCとマイナス金利の時代に、日銀が国債を買い続けたことです。中央銀行が、市場が決めるはずの長期金利まで直接コントロールしていた——世界的にも珍しい実験でした。
そして、今
日本銀行は2024年にマイナス金利とYCCを解除し、17年ぶりに利上げへと舵を切りました。長く「金利のない国」だった日本に、金利が戻りつつあります。金利が動き出すと、為替や株にも影響が及びます。それが次回のテーマです。
- 中央銀行の仕事は物価の安定。道具は金利
- 直接動かせるのは短期金利だけ。長期金利は市場が決める(効くのは〜2年)
- マイナス金利=預けると減る非常手段。YCC=長期金利に上限を設け国債を買って抑える
- その結果、日銀の国債保有が急増。2024年に両方を解除し、日本に金利が戻りつつある
※本ページは相場の仕組みを理解するための解説であり、特定の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。