債券とは
*なぜ株やFXより先に「債券」から始めるのか——その理由は後の回でお話しします。まずは債券そのものを知ることから。
債券は、ひとことで言えば「お金を借りた証書」です。国や企業が投資家からお金を借り、決められた利息を払い、満期になったら元本を返す——その約束を証券にしたものです。
種類は多いですが、「誰が発行するか」「利息の払い方」「返済の順位」という3つの見方で整理すると、全体像がつかめます。
3つの見方で整理する
お金を借りる主体で分かれます。
利息(クーポン)の払い方で、値動きの性質が変わります。
発行体が破綻したとき、誰から先に返してもらえるか。リスクとリターンの差になります。
債券市場の規模
債券市場は、株式市場と並ぶ——規模ではむしろ上回る——巨大な市場です。世界の債券残高は、政府債と社債を合わせておよそ140兆ドル超(1京円以上)。そのうち政府債(国債)が約3分の2を占め、国が最大の借り手という構図です。
通貨・地域で見ると、米国の債券だけで世界のおよそ半分。次いでユーロ圏、日本と続きます。世界中の投資家が米国債を持つため、米国の金利が世界の相場の基準になりやすい——後の回で為替や株を考えるときの土台です。
日本の国債 — 借金が多く、その半分を日銀が持つ
日本は、先進国(G7)の中で政府の借金が飛び抜けて多い国です。経済規模(GDP)と比べた政府債務は約250%と、他のG7を大きく引き離しています。2020年前後にどの国も急に増えていますが、その背景は後の回(中央銀行)で取り上げます。
これだけ多い日本国債を、誰が持っているのか。最大の保有者は日本銀行で、全体のおよそ半分(約50%)。残りを生保・年金、銀行、公的年金、海外勢などが分け合っています。
「なぜ日銀がこれほど国債を買っているのか」——ここが日本の金融政策の核心です。マイナス金利やYCC(イールドカーブ・コントロール)とあわせて、後の回でくわしく取り上げます。
いま起きていること — メガテックの大型社債
債券は「昔からある地味な世界」ではありません。いま最前線にいるのがAIです。グーグル・アマゾン・メタ・マイクロソフト・オラクルといった巨大テック企業が、AIのデータセンターを建てるために社債で巨額の資金を調達しています。
なぜ株ではなく債券なのか。株を新たに発行すると既存株主の持ち分が薄まりますが、債券なら持ち分を薄めずに大きな資金を一度に調達できるからです。いま押さえておきたいのは、AIブームの資金の多くが、株ではなく「債券」を通じて流れているという事実です。
- 債券は「お金を借りた証書」。発行体・利息の払い方・返済順位の3つで整理できる
- 世界の債券残高は140兆ドル超。政府債(国債)が約2/3
- 日本は政府債務がG7で突出。日本国債の約半分を日銀が保有
- いまはAI向けの大型社債が急増。AIマネーは債券を通って流れている
※本ページは相場の仕組みを理解するための解説であり、特定の売買を推奨するものではありません。数値は概算で、時期により変動します。投資判断はご自身の責任で行ってください。